小児(子ども)鼠径ヘルニアとは
成人の場合は、加齢によって筋膜がゆるむため、中年以降に発症することが多いですが、小児ヘルニアは胎生期から腹壁筋膜の抵抗の弱い部分があるため、乳幼児期に発症します。
小児鼠径ヘルニアは、小児の20人に1人の割合で発症するといわれるほど多い病気で、1歳6カ月検診や3歳検診の際に指摘されることが多いようです。赤ちゃんが泣いてお腹に力が入った時に足の付け根が膨らんでくるため、おむつ交換やお風呂などの際に保護者の方が気づくことが多いです。
小児(子ども)鼠径ヘルニアの手術
子どもの鼠径ヘルニアの場合、自然にヘルニアの穴がふさがることもあるため、2歳までは経過観察をしますが、2歳以上の場合は手術することをおすすめします。子供の場合は身体が成長していくため、成人鼠径ヘルニアとは違い、メッシュなどの人工物は使用しません。
手術は、ヘルニアの出口でゆるんだ腹膜の一部(ヘルニア嚢と呼ばれるヘルニアの袋)を糸で縛る方法で行います。袋に水が溜まっていたり、袋が大きい場合は出口を縛って袋そのものを摘出します。
また、子どもの鼠径ヘルニアの手術には、内視鏡でお腹の中を観察しながら行う、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(LPEC)という方法もあります。ヘルニア用の特殊な針を使用し、ヘルニア門の周りに糸をかけ閉じるというものです。腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術の場合、傷はとても小さく、術後でもほとんどわからないくらいの大きさとなります。男の子の手術は精管を傷つけないように慎重に行う必要がありますが、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術は腹腔鏡で視野が拡大されるので、これまでの手術に比べ精管や精巣動静脈を傷付けないように手術を進めることができます。
子どもの鼠径ヘルニアの手術は全身麻酔が必要なため、当院では対応しておりませんが、専門医療機関をご紹介しますのでお気軽にご相談ください。