鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り手術

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日帰り手術について

鼠径ヘルニアの手術は大きい病院で入院加療しなければならないというイメージを持っている方も多いと思います。

しかし、近年では手術技術や麻酔方法、医療機器が目覚ましい進歩を遂げています。そのため、経験を積んだ医師によっては、日帰り手術が入院加療と同等なくらい安全に行われるようになってきました。もちろん、すべての患者様の症例で日帰り手術が実施できるとは限りませんが、アメリカでは外科手術の約7割が日帰り手術で実施されています。

日帰り手術のメリット

日帰り手術には、以下のようなさまざまなメリットがあります。

最小限の拘束時間で手術を受けることができる

手術日が決められているので、拘束時間を大幅に短縮できます。入院のために部屋が空くのを待つ必要もないため、日常生活の計画が立てやすくなります。

入院に関するわずらわしさがない

入院までにさまざまな段取りをしたり、必要なものを買い揃えて準備するなどのわずらわしさが一切ありません。さらに、付き添いや洗濯などのご家族の負担も最小限で済みます。

医療費が安くなる

日帰り手術では単純に入院費用分が安くなります。そのため、約2~4割程度の医療費の削減でき経済的です。

身体への負担が少なくなる

近年では、手術や麻酔方法の進歩により、患者様への負担が軽く、身体にやさしい手術が可能になってきました。症状や状態にもよりますが、手術によっては翌日から事務作業であれば職場復帰、また家事などができるので早期社会復帰が期待できます。

精神的な負担が少なくなる

入院に際して必要であった、仕事のスケジュールを調節したり、お子様やご家族の世話を誰かに頼むといった手間がありません。また、ご家族と離れる期間がないという面でも、精神的な負担が少なくて済みます。

鼠径ヘルニアは、現段階では手術以外に治す方法がなく、薬や運動療法といった方法では、鼠径ヘルニアの治療は根本的に改善できません。

患者様の中にはヘルニアバンド(脱腸帯)を使用している場合もありますが、それは治療ではなく、あくまでもヘルニアを抑えているだけなので、バンドを外すとヘルニアもとに戻ってしまいます。かつては対処療法としてヘルニアバンドが有効だという考え方もありましたが、現在では積極的に活用している医療機関はほとんどないと思います。

大人の鼠径ヘルニア(脱腸)は、自然に治ることはありません。鼠径ヘルニアは良性の疾患ではありますが、放置していると嵌頓(かんとん)になるリスクも出てきます。その場合は緊急手術が必要になりますので、早目に治療することが大切です。嵌頓は脱腸になる場所によって発症率が変わってきます。

 

当クリニックの手術方法

当クリニックでは、皮膚を切開してヘルニア嚢を処理する鼠径部切開法を採用しております。手術方法は、確実な術前診断・検査(問診・視診・触診・超音波)と、患者様への十分な説明と同意を基に計画して実施します。
鼠径ヘルニアの状態や患者さんのご要望に応じて、4~5種類ほどあるメッシュをテーラーメイドで提供しております。

主な手術法:メッシュプラグ法

当院では、メッシュプラグ法を採用しています。鼠径ヘルニアに対して現在最も多く行われている手術方法の一つです。元来、鼠径ヘルニアの手術は入院が必要でした。しかし、メッシュを使った手術が開発され、麻酔の進歩もあり、近年では日帰り手術で行えるようになりました。メッシュプラグ法

メッシュプラグ法とは、出てきたヘルニアを本来あるべき所に戻し、傘状のプラグ(栓)を用いて小腸が出てくる筋膜の弱い部分を補強することで、ヘルニアの再発を防止する手術です。メッシュプラグ法のメリットは、傷が小さく、再発例などの困難症例でも確実な治療が可能であることなどです。

近年ではさまざまなメッシュの種類や方法が開発され、より安全で痛みが少ない手術が可能となりました。また、確実な補強が可能となったため、再発率も以前に比べて格段に低くなっています。手術時間が短く、術後のつっぱり感や痛みもほとんどありませんので、比較的早く日常生活に復帰できます。手術に使用するポリプロピレン製のメッシュは50年ほど前から使用されているもので、世界中で多数の臨床使用の実績があり、体内使用の安全性が確立されています。

メッシュプラグ法の手術時間は20分程度となります。その際は静脈麻酔・吸入麻酔・局所麻酔で眠っていただきます。そのため、手術中の痛みはなく、目が覚める頃には手術が終わっています。この麻酔方法の場合、麻酔の醒めが早いため、術後1~2時間で帰宅できます。また、バイアスピリン、ワーファリン、プラビックスなどの血液をサラサラにする薬を内服中の方も、基本的には服薬を中止せずに手術可能です。その他、認知症などで入院が難しい方も日帰りで治療が可能ですので、お気軽にご相談ください。

手術の詳細

主な対象者:初めて鼠径ヘルニアになった男性、出産経験がある女性など

皮膚切開の大きさ……1.5~3㎝

麻酔方法……局所麻酔+静脈麻酔+吸入麻酔

人工補強材……(写真参照)

およその手術時間……20分程度

主な手術法:ダイレクトクーゲル法

また、術前の検査結果から患者様の症状によっては、ダイレクトクーゲル法を採用しております。メッシュを使った手術方法にはそれぞれメリットがあり、患者様の症状に合わせて手術方法をご提案させていただきます。

再発性のヘルニアでは周りの筋肉が脆弱していると、腹圧で浮いてくるため、固めのメッシュを使用します。

手術の詳細

手術対象者……再発性ヘルニアの場合など

皮膚切開の大きさ……23

麻酔方法……静脈麻酔+局所麻酔

人工補強材……(写真参照)

およその手術時間……20〜30分

従来法について

当院では、若い女性・妊娠(出産)をこれから経験する方でメッシュを体内に使わない方が良いと考えられる場合で、なおかつ検査結果次第で、従来法を採用して日帰り手術を行っております。鼠径ヘルニアの手術では、メッシュ法が主流になってきておりますが、症例によっては従来法を採用するほうが患者様にとって良いケースもあります。

再発率について気にされる方もいらっしゃいますが、従来法で手術を行った場合でも、手術経験が豊富な医師の判断のもと行われれば、再発率は低く抑えられます。また、傷口も大きく切開する必要はなく(1.5cm~2cm)で実施できます。

 

手術費用について

鼠径ヘルニアの手術は保険診療となります。

1割負担 3割負担
手術費用 約15,000円前後 約4万~5万円前後

※祝日、GW、お盆休み、年末年始などにクリニックを貸切(人目に付かない)で治療を希望される方は、自費診療となりますが手術をお受けしております。詳しくはお問合せください。

 

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